契約法務ってなんだろう

この記事は法務系 Advent Calendar 2017 - Adventar初日のエントリーです。

はじめに

私の現在の興味関心は、相変わらずコンプライアンスなのですが、契約法務関連の方が盛り上がりそうなので、ポエム系で一ネタ。そもそも、どこまで法務部門がやるべきなんだろう、というところを問いかけてみたいと思います。なんか最近もやもやしており。よくある弁護士さんとのすみ分けというよりは社内との関わりという観点です。

契約法務のお仕事

分類が雑ですみません。段々職域が広がるイメージでまとめました。

対象の契約を自社有利な文言にまとめ上げる

「弊社のポリシーです」とか「これしか契約ドラフトがない」と言いながら実際の取引と関係ない自社ドラフトにこだわる相手方に遭遇したことがあります。(例:弊社がサービスを売る取引で部品の調達基本契約の先方雛形を提示された。一応ざっと見たけど、汎用性のないものだった。)さすがに、ここまでわかりやすいケースは法務に話が通っていないケースと思っていますが、権利と義務のバランスだけに執着していると、実務上は問題ないところにこだわってビジネスを止めていた、ということになりそうです。法務がリスクとか陰で言われていたら悲しい。ということは、運用に関わるところは現場で自分で読んで確認してね、って一般条項の確認だけしたら良いのでしょうか。確かに審査にかかる時間は短くなりそうですが…。(最近のNDAの審査時間論争はこういうところなのだろうか。)

依頼元が目的を達成できるよう交通整理をする

契約書は、そのビジネスをどう進めるかの手順書でもあると考えます。どのフェーズで社内のどの部署が何をして、先方に何をしていただく必要があるのか。ややこしい案件は、想定しているフローを図解してもらって、社内の通常フローと差分がないか確認する。そして、依頼元の気合い(というかリソース)でなんとかなるところ、他部署の協力が必要なところ、社内システムを大掛かりに変えないといけないところ(≒譲れないor先方に協力いただきたいところ)に切り分けてドラフトに落とし込む。知見を持っている依頼元は勝手に社内外の調整をした上で、落とし込む材料だけ持ってきてくれることもありますが、そうでない依頼元も多く、「まさか?」というところに罠があったりします。他のメンバーが見逃していた罠を見つけた時は結構快感なので、社内の諸制度、システムは把握しておきたいと思っています。(法務部門の仕事じゃないかもしれないけど、それなら誰の仕事なのかが、少なくとも弊社では曖昧な気がしています。)

目的を達成するために障害を取り除いてあげる

最近流行りの攻める法務を念頭に。ビジネスを法的に問題ない形にアレンジする、というのは法務の仕事の見せ場としてアピールされているイメージがあります。場合によっては、社内のやり方を法務主導で変えていくこともあるかもしれません。でも、黒を白にはできないし、他部門に負担をかけることを法務の一存で押し通せることばかりではない、と思います。依頼元が可哀想だな、と思うこともありますが、そういう時にその他部門を動かすのは対象ビジネスの規模だったり、重要性だったり、依頼元の情熱だったりするんじゃないかな、と思います。もちろん援護射撃することもあるけど、動かせないからって無能扱いしないで…。(クソコメグランプリで地味にダメージを受けた模様…。)

依頼元に代わって決めてあげる

進むべきか引くべきか、プランAがいいかBがいいか、え、そっちに行くの?って方向に突き進む依頼元もいれば、決められずに動けないタイプの方もいらっしゃいます。(契約交渉という場面だと少ないか?)弊社は、法務部は決める権限を持たないが、そこに踏み込む覚悟で一緒に考える、というスタンスです。「法務部は責任を取らない」と言われることも。「あなたが決めて」って言われること、経営陣に近い法務部門だと多いのでしょうか。求人票にその辺りがやりがいとしてアピールされていることもある気がします。

なんか文言で上手いことやる(番外編)

無理筋な内容を「決めたから」って持ってこられること、ありません?少なくとも、日本語にそんな魔法の作法はないし、仮にあったとしても、有事にこじれるのでは。と思うのですが、プログラミングの世界とかには魔法があってなんとかしてあげられたりするんですかね。(言ってくるのはエンジニアではありません。念のため。)

おわりに

最近、自分が依頼元になるケースがありまして。法務部門やら経理部門やら総務部門やらいろんなところにお伺いを立てて物事を進めることの、まぁ、面倒臭いし時間のかかること!そりゃ、契約審査を回避する方法を考えたくもなりますわ、という感じです。なるべくなら時間をかけずに通してあげたいな、とは思います。でも、依頼元が安心して「スピード感!!」と迫ってこられるのも、法務がおさえるべきポイントを落とさず見ているという安心感あってこそ、とも思います。いざトラブルが起きたら、催促した本人はそんなこと忘れて、「あの時見ていただきましたよね?大丈夫ですよね?」てなりますし。じゃぁ、最低限おさえるべきポイントってどこだろう…。 ネタが決まらなくて困っている方、よろしくお願いします(笑)

とりとめもなく、すみません。

明日はdtkさんの

逃げてないか,惑わされてないか : dtk's blog (ver.3)

です!