契約法務ってなんだろう

この記事は法務系 Advent Calendar 2017 - Adventar初日のエントリーです。

はじめに

私の現在の興味関心は、相変わらずコンプライアンスなのですが、契約法務関連の方が盛り上がりそうなので、ポエム系で一ネタ。そもそも、どこまで法務部門がやるべきなんだろう、というところを問いかけてみたいと思います。なんか最近もやもやしており。よくある弁護士さんとのすみ分けというよりは社内との関わりという観点です。

契約法務のお仕事

分類が雑ですみません。段々職域が広がるイメージでまとめました。

対象の契約を自社有利な文言にまとめ上げる

「弊社のポリシーです」とか「これしか契約ドラフトがない」と言いながら実際の取引と関係ない自社ドラフトにこだわる相手方に遭遇したことがあります。(例:弊社がサービスを売る取引で部品の調達基本契約の先方雛形を提示された。一応ざっと見たけど、汎用性のないものだった。)さすがに、ここまでわかりやすいケースは法務に話が通っていないケースと思っていますが、権利と義務のバランスだけに執着していると、実務上は問題ないところにこだわってビジネスを止めていた、ということになりそうです。法務がリスクとか陰で言われていたら悲しい。ということは、運用に関わるところは現場で自分で読んで確認してね、って一般条項の確認だけしたら良いのでしょうか。確かに審査にかかる時間は短くなりそうですが…。(最近のNDAの審査時間論争はこういうところなのだろうか。)

依頼元が目的を達成できるよう交通整理をする

契約書は、そのビジネスをどう進めるかの手順書でもあると考えます。どのフェーズで社内のどの部署が何をして、先方に何をしていただく必要があるのか。ややこしい案件は、想定しているフローを図解してもらって、社内の通常フローと差分がないか確認する。そして、依頼元の気合い(というかリソース)でなんとかなるところ、他部署の協力が必要なところ、社内システムを大掛かりに変えないといけないところ(≒譲れないor先方に協力いただきたいところ)に切り分けてドラフトに落とし込む。知見を持っている依頼元は勝手に社内外の調整をした上で、落とし込む材料だけ持ってきてくれることもありますが、そうでない依頼元も多く、「まさか?」というところに罠があったりします。他のメンバーが見逃していた罠を見つけた時は結構快感なので、社内の諸制度、システムは把握しておきたいと思っています。(法務部門の仕事じゃないかもしれないけど、それなら誰の仕事なのかが、少なくとも弊社では曖昧な気がしています。)

目的を達成するために障害を取り除いてあげる

最近流行りの攻める法務を念頭に。ビジネスを法的に問題ない形にアレンジする、というのは法務の仕事の見せ場としてアピールされているイメージがあります。場合によっては、社内のやり方を法務主導で変えていくこともあるかもしれません。でも、黒を白にはできないし、他部門に負担をかけることを法務の一存で押し通せることばかりではない、と思います。依頼元が可哀想だな、と思うこともありますが、そういう時にその他部門を動かすのは対象ビジネスの規模だったり、重要性だったり、依頼元の情熱だったりするんじゃないかな、と思います。もちろん援護射撃することもあるけど、動かせないからって無能扱いしないで…。(クソコメグランプリで地味にダメージを受けた模様…。)

依頼元に代わって決めてあげる

進むべきか引くべきか、プランAがいいかBがいいか、え、そっちに行くの?って方向に突き進む依頼元もいれば、決められずに動けないタイプの方もいらっしゃいます。(契約交渉という場面だと少ないか?)弊社は、法務部は決める権限を持たないが、そこに踏み込む覚悟で一緒に考える、というスタンスです。「法務部は責任を取らない」と言われることも。「あなたが決めて」って言われること、経営陣に近い法務部門だと多いのでしょうか。求人票にその辺りがやりがいとしてアピールされていることもある気がします。

なんか文言で上手いことやる(番外編)

無理筋な内容を「決めたから」って持ってこられること、ありません?少なくとも、日本語にそんな魔法の作法はないし、仮にあったとしても、有事にこじれるのでは。と思うのですが、プログラミングの世界とかには魔法があってなんとかしてあげられたりするんですかね。(言ってくるのはエンジニアではありません。念のため。)

おわりに

最近、自分が依頼元になるケースがありまして。法務部門やら経理部門やら総務部門やらいろんなところにお伺いを立てて物事を進めることの、まぁ、面倒臭いし時間のかかること!そりゃ、契約審査を回避する方法を考えたくもなりますわ、という感じです。なるべくなら時間をかけずに通してあげたいな、とは思います。でも、依頼元が安心して「スピード感!!」と迫ってこられるのも、法務がおさえるべきポイントを落とさず見ているという安心感あってこそ、とも思います。いざトラブルが起きたら、催促した本人はそんなこと忘れて、「あの時見ていただきましたよね?大丈夫ですよね?」てなりますし。じゃぁ、最低限おさえるべきポイントってどこだろう…。 ネタが決まらなくて困っている方、よろしくお願いします(笑)

とりとめもなく、すみません。

明日はdtkさんの

逃げてないか,惑わされてないか : dtk's blog (ver.3)

です!

裏LT大会

はじめに

Legal Tech LT大会(表)の申込が始まっていることに気がつくのが遅れがっかりしていたところを、KanekoさんとText Radio Miraiさんに救っていただきました。ありがとうございました。どうやら表の方から裏も実況するよう要望があったらしいのですが、たったの3つしかポストできませんでした。また、オフ会に行くと大抵どなたかに言われる「ブログ更新しなさい」を今回も言われてしまいました。ということで、これを書いています。私も、去年の裏会、何を話していらしたのかめちゃくちゃ気になりましたし。(去年は表に参加できてた。)

進行

お二人からは、人数少ないから普通の飲み会になりそう、と伺っていたのですが、着いたらしっかり進行表(紙)を皆さんで回してあれこれ予想していて、すでにあんまり普通じゃなかった(笑)基本的には、表の参加者さんが流してくださる実況Tweetからあれこれ想像しながら、コメントしてました。はっしーさん、kataxさん、shibaken先生、Earlyさん、他タグつけて発信くださった皆様、ありがとうございました。スライドを見たいと投げれば写真が複数上がり、文脈を掴みきれずに解説を求めれば経緯を丁寧にご説明くださり、本当にお世話になりました。(会話していたのは別の参加者さんたちですが、恩恵は全員で受けていました。)

印象に残ったこ

アナログの話

表が歓談タイムで静かだった頃、紙最強、みたいな話をしてました。誰かが素晴らしい何か(ExcelとかAccessとかのレベルの話)を作っても、人はいなくなるし入れ替わるから、残された人が維持できない仕組みは負債。みたいな話。(こういう言い方はしてなかったかも)結局、一番リテラシーの低い人に合わせるしかないんだよね、と。この日、dtkさんが一貫してこのトーンで持論を展開されていたように見えました。 私も、引き継いだExcelシートが残念なことになっているので、まぁ、それはそうだよなぁ、と。

ですので、システムを作ってくださる方々はIT強者が多いかと思うのですが、ぜひ、IT弱者に使いやすい、導入しやすい仕組みとUIをよろしくお願いします。わかりやすさ重視で。(どこに向けたらいいのかわからないけど、新しいこと考えてくれる人に対して)

Githubのマスコット(octcat)の話

Githubのキャラはなぜタコ足なのか? →猫だと思ってた!あれは、どういう意味なのでしょう。枝分かれしていく感じがタコ足配線、とかそんな感じ?

契約書に関するあれこれ

印紙税の要否検討は本当嫌、みたいな話をした記憶。でも、紙で残したくないだけなら昔から方法あったでしょ?とか。

契約書の作成不要論が出たみたいですが、文脈わからなすぎて、「え、必要だよね?」となってた辺りは、サテライトならではな気がしました。

次世代法務

1枚スライド。攻める法務っぽい。 法務リテラシー✖️ITリテラシーは今後の差別化(生き残り?)要素。ちょっと気になりつつ消化不良でしたが、はっしーさんの総括記事を読んで腹落ちしました。入社した頃より、英語は絶対拒否!という人のやらせてもらえる仕事が狭くなってきている印象があります。今後ITスキルが徐々にそういった要素になっていくということはあり得ると思いました。

某ゼミOBのバンド

これの話とかデザートの話とかで盛り上がっていたら、気がついたら表が終わっていました。 その場ではお店の中なので遠慮しましたが、翌朝聞いたら、結構好きな感じでした。 (宣伝した方が良いのかわからなかったので、念のため名前は伏せときます。)

終わりに

オフ会のおしまいでも、帰宅してから夫にも、「お前もうちょいちゃんとやれ」的なお叱りをいただいております。

そういや、ゴールデンウィークに書いたブログで、スクラム導入とか言ってたなぁ。なんか引っ掛けて考えられそうな業務、全然違う方向に行ったのもあり、進捗0です。夫に煽られたのでどうすりゃいいのか聞いてみて、なんかもう基本的なところから実現困難さ(スクラムマスターは暇でなければならない、とか)があって、あちゃーってなってます。

まぁ、ぼちぼち頑張ります。

最後に、表を企画してくださったみなさま、裏を企画してくださったみなさま、一緒に集まってくださった皆様、ありがとうございました。楽しかったです。あと、お料理美味しかったです。

読書感想文

 

池袋に出かけたついでに、三省堂を初めて覗きに行ってきた。法務系は今の問題意識にピンとくるものがなかったので、夫の欲しい本を探しにコンピュータ系の本棚に。そこで推薦された2冊がなかなか面白かったので、一気読み。読み終わった報告をしたらブログを書けと煽られたのでざっと感想を。

 

 

ライト、ついてますか―問題発見の人間学 | ドナルド・C・ゴース, G.M.ワインバーグ, 木村 泉 |本 | 通販 | Amazon

夫に、ぜひ読めと言われた1冊目。

古い名著のようで、部分的に知っていたエピソードもあったが、なかなか問いかけが深いというか煙に巻かれるようというか。

色々な事例を交えながら、繰り返し同じことを言葉を変えて問いかけられているのだと思う。サクサク読めるが、2回通読して、まだ半分強わかった気がするレベル。印象に残ったポイントは以下の通り。

 

- 問題を解きたいというプレッシャーに負けてはいけない。

- 誰の問題なのか

- 問題の定義が正しいかどうか、常に疑い続ける

- 問題を解決したことで副次的に問題が起きる
 (問題の解決によって、当然すぎて気がつかなかった何かを変えてしまう可能性)

- 実は問題を解決することを誰も望んでいない可能性

 

与えられた「問題」を自分の解法で解こうとしてしまう自分の癖に気付かされた点。「問題を放置」することが解法の1つである、という点が特に印象深かった。コンプライアンスが現場にとって「カンマの用法に関するメモ」(対応しているように見せかけて実際には無視する方法を示されている例)と同じ扱いを受けないように問題の設定や見せ方を考えないといけない、とも思った。

 

アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント | 平鍋 健児, 野中 郁次郎 |本 | 通販 | Amazon

スクラムに関する本は夫に借りて読んだことがあったのだけど、アジャイルとそのプラクティスの関係とかいまいち把握していなかったので、まぁ読んでみるか、と購入を決めた1冊。最初の目的は1部で達成されたけど、2部(導入企業の経験談)と3部(野中先生の論文における元祖「スクラム」とソフトウェア開発手法における「アジャイルスクラム」の関連)が想像以上に面白かった。

 

1冊目もそうだったが、私の過去関わり特に成果も残らなかった「業務改善」がなぜ失敗したのか、その答えが載っている気がした。(情熱もなかったし、対話も圧倒的に不足していた。問題の定義も「解決」による影響もあまり注意深く検討されていなかった。)

印象に残ったのは主に3部。下手に感想を書くと読みが浅いと言われそうだが、備忘的に。

 

- TDDXPのプラクティスの1つ (私にとってグリーンバンドは独立した1カテゴリだったのでびっくりした。)

- 形式知暗黙知のサイクル

- 実践知の共有、身体で学んで身体で伝える

- 共感の重要性。顧客は分析の対象ではない。体験を共有する。共感する。

- 「見える化」とは感覚的に現状を把握できる状態にあること

- PDCAPの前には、情熱をスローガン化してメンバーと共有する、共振させるフェーズがあるべき

 

個人的には、「日本の新製品開発現場の特徴をまとめた元祖スクラムには組織論といった視点での特徴が挙げられている。他方、それを参考に構成されたアメリカ発のアジャイルスクラムはプロジェクト単位で考えられているために組織に横展開する、組織の共有知や実践知として蓄積していく、といった適用対象を広範囲に広げていくという方向への知見が蓄積していない」という点が興味深かった。「強い組織になるには」という問題提起は比較的自分の周りではよく見かける問いだったので、他国には組織に知識や経験を蓄積しようという視点がない、という指摘に驚いた。また、日本の組織はもともと持続的な発展に長けているという視点に勇気付けられた。(暗いニュースに明日は我が身か、と思わずにいられない世の中でもあるけれども。)解決法が「合宿しなさい」というのは、すごくよくわかるが、まずその実行に難儀しそうだな、と自組織の構成員に思いを馳せつつ。。。。

 

コンプライアンス担当として、プログラマの製品開発にあたるようなプロジェクトはいくつか存在していて、これをスクラムの枠組みで回してみるのは面白そうだな、と思った。ただ、この場合プロダクトオーナーとスクラムマスターを誰がやるのが良いのだろう、とか、スプリントバックログをどう切り出すのが良いのだろう、とか、具体化にはちょっと考慮要素あるし、上長に提案しにいくのには、まだちょっとかかりそう。

 

さて、なんとか書き上げたし、お迎えに行って、子供とマリオカートしよう。

 

 

たまには夫を褒めてみる

本エントリーは、妻・夫を愛しているITエンジニアAdvent Calendar 2016【その2】妻・夫を愛しているITエンジニアAdvent Calendar 2016に触発されて書いています。夫の記事を読んでちょっと懐かしくなったのもあります。

poohsunny.hatenablog.com

なお、ITエンジニアではないのでAdvent Calendarへの登録は自粛しました。

なれそめ

ゼミの同期です。私は学部卒で夫は院卒なのですが、私も就活失敗に備えて大学院の願書を出していたので、ご飯に誘われるようになったのがきっかけという認識です。願書を出すようアドバイスしてくださった某先生、ありがとうございました。

夫のいいところ

のろけ方がわからないので、私の思う夫のいいところを彼の口癖とともに書き連ねてみます。

引き出しをたくさん持っていること。

ITのこと、プログラミングのこと、ニュースの背景、仏教の教え、ガンダムウルトラマン仮面ライダースーパー戦隊夏目漱石B’zの良さ、その他諸々、いろいろ語ってくれます。知らなかったらググって教えてくれますが、この前とうとう、北方領土問題について問い詰めすぎて「自分でWiki読んで。要約するのめんどい。」と言われてしまいました。(その節は、朝の忙しい時間にすみませんでした。)

夫「学校でやったよね?」

調整能力の高さ

付き合い始めたのが大学最後の春休みで、既に卒業旅行だのなんだの私の予定が詰まっていました。デート無理かなって日も、私のやることリストを投げると、この順番でやればここの時間に会える、みたいなスケジュールを組んでくれたので、びっくりしました。 今も、打合せ等の予定を調整して、子どもの通院やお迎えを担当してくれるので、(同僚の皆様にも)、感謝しています。

夫「子ども大事ですから」

問題解決思考

こちらは軽い気持ちで愚痴を聞いてもらうつもりでも、会話のキャッチボールの二往復目くらいから対策会議が始まっています。(正直最初は辛かった。)私のどこが悪かったのかも分析してくれるので大変助かります。

夫「そこで〇〇ですよ!」(〇〇には相談内容に応じて、アジャイルスクラム、その他本のタイトルやフレームワーク等が入ります。)

励ましてくれるところ

あれやこれやと背中を押してくれますし、夫自身が楽しそうにしているのを見て勇気をもらうことが多いです。Advent Calendarも、夫のおかげでエントリーできました。勉強会に参加する勇気も夫からもらいました。

夫「やったらいいのに〜。なんでやらないの?」

明るいところ

夫に似て子どもたちも随分明るくおしゃべりに育っていますが、夫が帰宅すると家が華やぐ気がします。ただ、3人いっぺんに話しかけられるのには、まだ慣れなくて辛いです…。

夫「やばい!そろそろママが怒るぞ!気をつけろ!!」(←これのおかげで、一人で子どもを見ていてうっかり感情的に怒ってしまった時の子どもの立ち直りが早くて助かっています。)

子どもを理詰めで説得できるところ

おかげで、長男はずいぶん物わかりの良い子に育ちました。ただ、私は夫ほどいろいろな物事をわかりやすく説明できないので、時々困ってます。今日は、なぜこのポテトチップスを買ってはならないのかの話から、なぜ人間には塩が必要なのかにいきつきました。がんばりましたが、その後たどり着いた結論は「じゃぁ、ポテチをちぎればいいよね!」でした。なぜだ!

夫「『お母さん、その説明は非論理的です』って子どもに言わせたいんだよねー。」

最後に

たまにはほのぼのしたことを書きたかったのですが、難しいですね。 新婚当初は恐妻家ぶっていた夫も最近はあまりそういう振る舞いをしなくなり、落ち着いて来た感じはあります。 お互いに考え方がわかってきたから、日常のことに関する議論は随分短くすむようになった気がします。

職場ではなだめ役をやることが増え(当人比)、子どもにあたることはなるべく我慢し、結果たまったストレスを夫にぶつけてしまうこともありますが、その様子を観察しておもしろがれる夫で本当に良かったと思います。

いまだに愛とか憎とか良くわかりませんが、予測不可能性に惹かれたと言ってくれる希有な夫を楽しませるべく「予想外」を提供し続けたいと思います。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

コンプライアンスを楽しみたい!

本エントリは法務系Advent Calendar2016の13日目のエントリーです。 前日は、経文緯武さんのグループガバナンスについてでした。

今回、お題について「在宅勤務したい!」と「コンプライアンスを楽しみたい!」で迷っていたのですが、前者は先週末に少し議論になっていたので後者の話を書いてみようと思います。

なお、本記事は私の現時点での個人的見解です。これから実践していく中で意見が変わる可能性もなきにしもあらずです。

自己紹介

新卒で法務に配属されて以来、2度の産休育休をはさみ契約法務っぽい仕事をやらせてもらってきましたが、今年、弊社グループ全体に適用されるコンプライアンスプログラムを推進するチームに異動してきました。

弊社もコンプライアンスプログラムを制定し、定期的に見直して、とちゃんとやってはいるのですが、優等生企業の不祥事が〜と言われる昨今、各職場、各従業員の心に響く施策を打たないといけないね、なんて話をしています。

でも、これってけっこう難しい。

なぜコンプライアンスを楽しみたい?

まずは、性悪説でいろんな施策を立てるのはコンプライアンス担当者(私)が辛いから。

次に、あれダメこれダメだけでは、ビジネス部門の方に聞き流されてしまうリスクが上がるから。まぁ、これは受け売りですが。

BLJの連載をきっかけに、増田英次先生の著書「もうやめよう!その法令遵守」を読んだのですが、「今のコンプライアンスは推進している人もやらされてる人もみんなコンプライアンスが嫌いなのが問題なのだ。嫌々やっている人間の言葉なんか誰も聞きたくない。」というご意見がすごく刺さったのでこのエントリを書いています。

どうやって楽しむ?

まずは、ワクワクするメッセージを発信すること。少なくとも自分がわくわくできることは最低ラインにしたいです。もちろん独りよがりではダメだから、会社のDNA的なものも意識して。

どちらかというと理屈が得意の法務パーソンは、理詰めでコンプライアンスの大切さを説くことが多いのではないかと想像するのですが、人間、理屈がわかっただけではなかなか行動が変わらなくて感情に訴えかける必要があるそうです。これは、前述の本だけではなく、去年夫の勧めで読んだ本「スイッチ!-「変われない」を変える方法」にも書いてありました。(良い本だったので半ば無理矢理ご紹介)

感情に訴える方法としては、何らかの事故を起こした人に、なぜそのような事態が起こったのか、行為時から発覚時までの心情を語ってもらうといい素材になりそうな気がします。 でも、(特に結果が軽微な場合)「あぁ、それはやっちゃうよね〜。」という方向に引っ張られる可能性もあるし、共有してる方もされる方もなんだか暗い気持ちになってしまいます。そもそも、ぶっちゃけて話してもらうのがまず難しそうでもあります。 なので、やっぱり前向きに感情を揺さぶりたい。自分ならどうするかをない知恵しぼって考えましたが難しい。うーん、企業理念や中期目標に絡めて、お客様に喜んでもらうことや社会の役に立つことの大切さを説く中に、遵守させたい法令の目的(not具体的な遵守条項)を盛り込むというのはどうでしょうか。大きい会社だと、全社メッセージはある程度抽象的にならざるを得ず、結果心を揺さぶる難易度がかなり高く感じられるので、部署ごとにブレークダウンしたメッセージも必要と考えています。グループ会社も各社の業態や所在地域(国)によって重点施策が異なるはずで、どれだけきめ細やかに個別対応が出来るかという点は鍵になりそうです。(これらのために各社・各部トップ層の協力は必須と思います。)

次に、ある程度自分たちで考えてもらう仕組みにすること。

日々の業務に忙しい皆さんに、一々自分たちで考えてもらうのが本当に良いことなのか、機械的に判断できるような基準を設けて余計なストレスを減らした方がいいのではないか、という悩みもあるのですが、一律に「できません」と決めつけられることほどつまらないものはないだろうとも思うのです。 予め一律に決めるとなるとなるべく安全サイドに寄せた規律にせざるをえず、現場を知らない奴らがビジネスの邪魔をする、と嫌われるだけですめばよい方で、一々守っていられない、と無視される危険もあるかと思います。

かといってあまり抽象的な規定にすると、結局どうすりゃいいのよ?と問い詰められますよね。理想を言えばぜひ問い合わせてもらって個別に一緒に対応を検討していくうちに各現場に考え方のノウハウが溜まるといいなぁ、と思ったりします。

最後に、やはり日々のコミュニケーションを丁寧に行うことでしょうか。 ビジネス部門の方とお話しする機会自体めっきり減ってしまいましたが、社内の方に助かったとか相談して良かったと言っていただく喜びは忘れがたいので、今の職務でもお得意様を作るチャンスは逃さないようにしたいです。

最後に

増田先生は、そもそもコンプライアンス法令遵守という言葉を封印してしまえ、とおっしゃっていますが、そこまでビジネスの中にとけ込ませてしまうと対外的な説明が面倒になる側面もありそうなので、結局バランスだろう、と感じています。法令の中にも解釈に幅のあるものから、これやったら一発アウトっていうものまであり、やっぱり危ないものは危ないと警告する必要はあると思いますし。でも、そもそもその警告を受け取ってもらえなかったり聞き流されてしまったりしないように、少しでもコンプアライアンスを前向きなものに出来ないか、と考えているところです。 ということで、これから自分のアイディアを形にするまでに上司にボコボコにされる予定なので、皆様からはお手柔らかなフィードバックをいただけると喜びます。

ふにゃふにゃな記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。 明日は、Hirohito Nakadaさんの「応用美術の著作権法上の保護の行方(仮)」です!

LTの感想

一部箇条書きです。まずは、上げるのが大事!という割に遅い…

全体を通じて

  • 盛り上がりすごかった
  • 5分て意外と内容入る(初参加のため)
  • たしかに女性が少なかった
  • 会うと思ってなかった人に会えた、ラッキー
  • 一番後ろだったのでゆったり座れた反面、一部字が読めなかった。
  • 運営スムーズ(本当に開催ありがとうございました)

印象に残った発表

まず、twitter歴そこそこになるのに未だにキャラや方向性が定まらないので、川井先生の「企業法務系ブログを5年書き続けて」や経文緯武さんの「企業の中の法務関係者はSNSでどこまで身分を明かしてしまっていいのか」が気になってました。川井先生も、キャラ付けを意識していらっしゃるとの事で、うんうんと拝聴しておりました。速報性や意見表明等、難しいから価値が出る部分というのは、やはりすぐ真似するのは難しいわけですが、自分が読みたいのはそういうブログだな、とは思いました。経文緯武さんの方も、ご自身の基準を教えてくださり参考にしたいところです。単に恥ずかしいとかそういうことではないのですよね。私はもう一部界隈に身分を晒しているので、いっそう努めてポジティブな事を書いていかないといけないのかなぁ、とぼんやり思いました。

あと、はややさんの「GitHubを利用した法務業務のグランドデザイン」は、その後が気になります。今導入に向けて準備中とのことでしたが、どんなツールを使うにしてもツールが全てを解決するわけではなく運用時の決め事が必要だと思っていて、その辺をどう組んだのか伺う機会があればありがたい、と思いました。

その他、自分の職務に関係のあるものから馴染みのない分野まで、いろいろ心に響く発表だらけでしたが、網羅しようとするといつまでたっても記事をリリースできないので諦めます。

2次会

  • けっこうすぐ帰る人も多いのが意外だった。
  • 決めてた人にはご挨拶できたが、もう少し欲張ってもよかった(次回の課題ということで)
  • 世間は狭い

今後について

幹事の方々が挙げる課題が「ハードルが上がってしまった」になる位素晴らしい時間でした。次回があれば、ハードルを下げる側に回りたいと思います。

また、二次会で、ワーキングマザーの考えを男性が聞きたいと思っているという話を伺い、下に参考になる情報を渡すだけでなく、上に向けて自分なりの悩みを発信するイメージなら少しはできるかも、と思いました。

といっていきなり何かできるようになるものでもありませんが、まぁ一歩ずつ。

改めて、企画運営して下さったみなさま、ありがとうございました‼︎